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スタッフ

スタッフ

加藤元博/かとう もとひろ

小児科学教室 教授
専門分野:血液腫瘍・造血細胞移植・分子遺伝学

先輩方の努力が実を結び、小児医療は「救命率」という点では一定の水準に達しました。さらに、少子化の結果、こども人口が少なくなっています。その一方で小児医療は複雑化し高度な医療が必要となっています。さらに、身体面の治療だけでなく、心理・社会面も含めた成育過程の支援の必要性が認識されています。これらの背景から、質の高い小児医療の担い手として小児科医の役割はむしろ重要なものになっています。

小児科医は、こどものさまざまな問題に対応するために、高い専門性と広い総合性の両面が必要です。良質な小児医療を実践するためには、個々の小児科医がそれぞれで臨むのではなく、有機的な連携による「チーム」を構成することが重要です。東京大学医学部附属病院では、小児医療センターを設置し、小児科内の各専門領域の連携に加え、関連の診療科・部門・メディカルスタッフとともに、こどもたちの包括的な診療に取り組んでいます。診療の背景にあるエビデンス(根拠)と、医療の実践を通じて得たエクスペリエンス(経験)を融合させ、いま目の前にいるこどもたちに最善な医療を提供します。さらに、診療を通じて新たなエビデンスを創出する姿勢を心掛け、未来のこどもたちのための医療の進歩にも貢献します。

また、小児医療の発展には小児医学の進歩が必要です。診療と研究は相互に関連し、診療の現場からの「気づき」が基礎研究の着想につながり、基礎研究によって病態の理解が深まることがよりよい診療につながります。リサーチマインドを持ったphysician scientistならではの視点に立ち、ゲノム研究から始まる病態解明を中心に、「好奇心」を最大限に活用して研究を行っています。

「こどもたちの幸せ」が私たち東京大学医学部附属病院小児科「チーム」の目標です。メンバーの多様性を活かし、目標に向けてそれぞれの役割を果たす「チーム」を構成し、診療・研究・教育に取り組みます。

小児科医の「やりがい」と「楽しさ」をみなさまと共有したいと考えています。

高橋 尚人/たかはし なおと

小児新生児集中部 教授
専門分野:新生児

東京都は母体高齢化によりハイリスク新生児の出生は高止まりの状態です。また心臓手術をはじめ、あらゆる新生児疾患を治療できる病床は東京都においても必ずしも十分とは言えません。また東大病院は東京都が指定する4つのこども救命センターの一つとして区東ブロックの小児高度救命医療を担っている一方、小児心臓移植が可能な全国で4つの施設の一つでもあり、PICU病床の拡充が求められていました。

そこで、小児ICU系部門は、2019年5月〜6月に入院棟A・2階全体に整備した新病棟に移転・増床しました。現在も徐々に増床中で、2021年度にはNICUが21床に、GCUが36床に、PICUが12床になります。病床部分の面積は以前の約3倍に相当する合計約1500 m2となっています。この移転でNICU/GCUとPICUが1フロアに集まり、入院棟B(2・3階)の小児医療センター外科系・内科系病棟と直接つながり、MFICUを増床し分娩施設を増強した総合周産期母子医療センターと上下階の近接した構造となっています。

この移転・増床により、母体搬送・新生児搬送、また新生児心疾患の手術症例の受入れや近県からの重症新生児・小児の受入れが、これまで以上に可能になると考えられます。また、出生前から出生後にかけての母とこどもの医療が今まで以上に有機的に連携し、充実すると思われます。

さらに、この小児ICU系部門の充実により、この分野の将来を担う優れた医師・看護師を育成することを目指します。今後、全国的な少子化で、新生児・小児集中治療の研修については全国規模で検討する必要が出て来ます。他県からの研修者を受け入れ、一方で育成した人材を他県へ派遣することも検討していきます。また、新生児医学、小児集中治療学の学術研究面で世界に貢献し、この分野の世界を代表する研究拠点となることを目指します。

最後に、未来の世界を担うこども達のために、皆さまと一緒に努力して行きたいと考えています。どうぞ、ご協力、ご指導をよろしくお願いいたします。